Next Stage

Case Studyネクストステージの実績・事例

株式会社 HKホールディングス / 株式会社しろむらホールディングス グループ代表 沓名 英樹 氏
代表取締役社長 久家 竜二 氏

愛知県名古屋市を拠点に、飲食・IT・不動産・宿泊の4事業を展開。飲食事業では「うなぎのしろむら」をはじめ、串カツ、焼き鳥、焼肉などの店舗を愛知県内で運営する。IT事業・不動産事業・宿泊事業など多角化を進め、現在はシンガポールを中心に海外進出している。

取材日:2026年10月1日

社長依存の組織体質を解決し、トップ交代。
——No.2の変貌と社員の自律で、グループ9社が自走する

「社長がいなくても回る」状態をつくりたい

高須コーチとの出会いから教えてください。
沓名

高須さんとは前職時代に面識があり、コーチになられたあとに勉強会で再会しました。


当社は、ここ数年でM&Aした会社を含め、飲食やITなど複数の事業と子会社を抱えるグループ企業です。解決したい課題はいくつもありましたが、まずは僕が社長を務めていた飲食事業を、いち早く理想の形に持っていきたかった。


そこに、飲食業のキャリアを持つ高須さんの存在。迷わず、その場で「やります」と即決しました。


最優先で解決したかった問題について、教えてください。
沓名

10年以上前から、「僕抜きで会社のPDCAを回すには、どうすればいいか」という課題と向き合ってきました。   コンサルだけでも十数社、研修や自己啓発も含めてさまざまなことを試してきたものの、満足のいく答えは出せずにいたんです。


当社の長期ビジョンは「10社10億で、100億円」、そこを目指して数年経ちます。ただ、僕が自分で10億、30億の事業をつくった実績はあっても、ほかの人間に任せてその規模を実現しようとすると、全く違う難しさがある。2〜3億規模までなら伴走しながらつくれても、10億規模まで引き上げるのは、僕一人の力では難しい。


しかも、2年半前から僕は海外に移住しているので、日本にいるのは3分の1以下。この条件下でいかに事業を伸ばすか、悩ましさを感じていました。


ご自身と社員の方々との間に、どのようなギャップを感じていましたか。
沓名

『すごい会議』を始めて気づいたのは、僕と社員とでは、目指す場所も考え方の起点もまるで違っていたということ。僕は「どうすれば100億円企業にしていけるか」と、理想から逆算して考える。でも、社員たちは「1億円に向けてがんばりたい」と、今の現実から積み上げて考える。


その溝の埋め方が、感覚的に進んできた僕にはわからなかった。熱量で惹きつけるのは得意でも、そこへの行き方を理論立てて言葉にするのが苦手で。結局、「気合いと根性」に頼るばかり。そのギャップを埋めるための、『すごい会議』でした。


全員参加型会議で、意見を言い合う

この1年半で、どのような変化を感じていますか。
沓名

メンバーが変化していくさまを目にできるのが面白いですね。ポストイットに書かれた意見を見ると、「こんなことを思っていたのか」「まだそこに引っかかっているのか」と、一人ひとりの現在地が見えてくる。


僕の熱量だけでは動かなかった人間も、『すごい会議』なら動き出すことも興味深い。昨日実施した来期の目標設定会議も、前回とは比較にならないほどスムーズに進みました。


同時に、彼らの発言も変わっています。マイナスの言葉を、「どのようにすれば〜できるか」と、繰り返し言い換えていくうちに、前向きな言葉が自然と出てくるように。その成長は明らかです。


『すごい会議』の何が、ハマったと思いますか。
久家

間違いなく「ポストイット」だと思います。これまでは、僕と沓名が出した答えを、ほかのメンバーはただ受け取るだけ。それが今は、全員がポストイットに意見を書いて提案し、納得したうえで自分で未来を決められる。全員参加型になったことが、最大の違いです。


沓名

僕は、つい自分が答えを持っている気になって、「これやっといて」と指示したくなってしまう。でも『すごい会議』では、メンバー自身が考え、そのアイデアが採用されてリーダーとしてプロジェクトを担っていける。彼らも、それがうれしそうなんです。導入前とは、社風が少し変わったかもしれません。


もう一つ大きいのが、毎週の進捗会議です。僕と久家は進み具合が気になって毎日でも確認したいタイプですが、ほかのメンバーはそうでもない。その温度差にお互い苛立っていましたが、今はそこを仕組み化できたことで、実行管理がスムーズになりました。


全社売上1.5倍「自分で決めたから走れた」

数字の面では、どのような成果が生まれましたか。
久家

僕が社長を務めていたIT事業では、この1年半で売上がおよそ3倍になりました。飲食事業全体では1.3倍。なかには、店舗数を変えずに売上を約2.7倍まで伸ばした事業もあります。全社で見ても、売上は前年比1.5倍超。


それも、利益率の高い事業に力を入れ、そうでない事業は手放す決断をした結果です。手放して店舗が減れば、必然的に売上も減りますが、それでも1.5倍に伸びたことに意味がある。


その上で、僕が何より手応えを感じたのは、グループとしての変化です。各社がそれぞれ個別に伸びていた状態から、飲食部門とIT部門などにまとまって動けるようになった。「やっと、グループとして一つになって進んでいける」と実感できたのが大きいですね。


売上成長の最大の起点は、どこでしたか。
久家

目標を決めたことだと思います。全社と事業部別の明確な売上目標です。以前も目標はありましたが、各社の代表や管理者が決めて下ろすものでしかなかった。それが今回は、1年半後、3年後の数字をメンバー自身が決めたことに意味があります。自分で決めたら、やらないと気持ち悪いじゃないですか。だから、走れたのだと思います。


『すごい会議』シーズン1が完了。数字が伸びた一方で、それだけでは成功とは言えなかったそうですね。
沓名

数字には満足していますが、「目標に本気なのは、僕と久家だけなんじゃないか」と思う瞬間もあって。もちろん、ほかのメンバーも達成しようと口では言っているし、行動もしている。でも、本当の意味で「自分ごと」にはなっていないように感じたんです。


たとえば飲食事業。物価高に世界情勢の不安定さが重なり、出店費用はかつての1.5倍かかります。アクセルを踏みにくい状況ですが、それでも彼らが「目標達成のためなら、なんでもやる」と言うなら、僕も覚悟を決めて出店する。ところが、そこまでの本気度が伝わってこない。そのギャップが悲しかった。


これから『すごい会議』のシーズン2を始めるとして、さらに高い目標を立てるなら、果たして今のメンバーでやる意味があるのか。だから、2カ月前に「今の課題を突破できなければ、次の『すごい会議』は、僕と久家とコーチの3人でやる」と、宣言したんです。


シーズン2開幕。メンバーの「本気」が目標を押し上げる

沓名さんがグループの会長に、久家さんが社長に就任。昨日スタートした『すごい会議』シーズン2でも、意思決定者は久家社長が務めたそうですね。
沓名

2カ月前の宣言があっての昨日なので、開始当初は全員が深刻な表情で(笑)。でも、彼らも寝ずに課題をやってきたらしく、高須さんがうまくモチベートしてくれたおかげでなんとか持ち直しました。


正直、僕は目標の難易度を下げてもいいと思っていたんです。それが、最終的には想定以上の「売上45億円」という目標に着地。メンバーからは、それを上回る「50億」という数字まで挙がったことが印象に残っています。久家がどう意思決定するのか、ワクワクしながら眺めていました。


何より、メンバーが必死に食らいつく意欲を見せてくれたのがうれしかったですね。


コーチの視点で、昨日の分岐点はどこにあったと見ていますか。
N高須

まず、2か月前に沓名さんが「本当にこれでいいのか」と問い直したことが起点です。その上で昨日は、メンバーの一人が「50億」という数字を口にしたあたりが分岐点。役割分担への当事者意識の強さも感じましたし、自分の担当を追加提案するような発言もみられました。


沓名さんが意思決定者を離れたことで、「自分たちでやらなければ」と、いい意味で危機意識が働いたようにも感じます。一人ひとりが明確に意思表示し始めたことが最大の変化ですね。


社長交代。任せられる右腕が育った

会長就任、そして意思決定者のバトンタッチ。その決断の決め手を教えてください。
沓名

一番は、No.2である久家の成長です。『すごい会議』で誰より伸びたのは、彼。そうでなければ、この決断はなかったと言い切れます。


久家は能力が高いからこそ、自分でやった方が早いと動いてしまうタイプ。僕にも覚えがあるので気持ちは分かりますが、どれだけ言ってもそこだけは変えようとしなかった。


それが『すごい会議』で一変。「やってみます」と宣言して以来、さなぎが羽化したような変貌ぶり。「現場部長」から、やっと「社長」になってくれたとでもいうのかな。彼の成長が『すごい会議』の最大の功績ですね。


今後は、彼に会社を任せることで、僕自身は空いた時間で新たな挑戦に向かえる。何に挑戦するかはすでに決まっているので、自分も会社も、これからが楽しみです。


久家社長は、ご自身をどうアップデートしたか教えてください。
久家

自分がこれまで「人を育てない」やり方をしてきたことに気づきました。売上2、3億円規模なら、一人で決断して管理すればなんとでもなる。でも、グループで数十億円規模を目指すなら、僕の時間の使い方を変える必要があるし、部下を育てるしかない。このままではダメだと、やっと理解しました。


同時に、これまでは「事業を伸ばし切る」という発想がなくて。IT事業に関しても、前年比増で自分の給料分を稼ぎ、メンバーの給料を少し上げられるだけの成長があればいいと思い込んでいたんです。


でも『すごい会議』で高い目標を立てたことで、売上3倍まで伸ばし切れた。そこで生まれた余力を、ほかの事業に回せるようになったのも大きいですね。とはいえ、「自分でやりたい」衝動を我慢している真っ最中。まだ、挑戦の途中です。


意思決定者を譲ってオブザーブに徹した沓名会長。どのような体験でしたか。
沓名

正直、口を出したくはなりました(笑)。ただ、会長職は30代で会社を10社近く売却した際にも経験していて。社長だとどうしても自分で管理したくなりますが、会長なら距離を置いて、笑って見守れる。そのほうが会社もうまくいくんです。


ただ、出番が減って寂しいのも事実。それでも、今までのやり方を続けるには限界があるし、それは僕が求めた人生ではないこともわかっています。これは、僕自身にとっても挑戦。手放した分だけ、今はめちゃくちゃ軽いですね。


改めて、久家社長。意思決定者としての決意表明をお願いいたします。
久家

この1年半で実感したのは、人の意見を聞く意味です。メンバーには、僕にはない考えや視点があると実感しました。これからは、自分の考えだけで答えを出すのでなく、メンバーの声を聞いて取りまとめながら、形にしていきます。一方で、意思決定者としてブレてはならない芯もある。そこは貫きつつ、やり切っていきます。


沓名

意思決定者として、メンバーの一言一句にアンテナを張ってほしいですね。彼は本来、人のために動くのが大好きな人間。だからこそ人を大事にすることがキモになるし、今まさにそこを掴んで成長しているところ。


ここから数年で形にしてほしいのは、右腕、左腕の育成です。そのためには、トップとしてメンバーを見守り、任せていく必要がある。今まで対等だった仲間が「子ども」のような存在になるので、教え方や接し方も変わります。僕はその親子喧嘩を仲裁する、おじいちゃん役かな(笑)。


久家は細かな管理が得意で、僕は大きな獲物を釣ってくる役割。タイプが真逆だからこそ、いいチームなんです。


「実は、事前ミーティングがいい」

高須コーチは、どのような存在ですか。
久家

思ったことを全部ぶつけて相談しながら、最終的にまとめてくれる。僕たちを導いてくれる存在です。高須さんがいなかったら、昨日の会議は大荒れになっていたはず(笑)。


沓名

個人的に、特に価値を感じているのは、会議前に3人で行う事前ミーティングです。僕はしゃべりながら「あ、これがやりたかったんだ」と気づくタイプなので、高須さんはいい相談相手。ほかの人には言わない悩みも吐き出しやすく、会話するなかで新しい課題が見つかり、モヤが晴れていく感覚がある。僕と久家との間で掛け違っていたボタンに気づくこともあります。久家が「人と一緒にやっていく」働き方にどう切り替えるか、という会話もずいぶんしましたね。


会議本番は仕組みで進む、メンバーのための場。だからこそ、3人だけで話す時間と、そこにコーチがいてくれることに価値を感じています。


高須コーチから見た、このチームの変化・成長をお聞かせください。
N高須

この1年半で、会社そのものが大きく変化しました。本部体制の変更、グループ会社の増加、会議メンバーの入れ替わり。グループが一丸となって進むための土台づくりの期間でした。そこを経てのトップ交代。久家さんが先頭に立って問題と向き合い、沓名さんが支える新体制に新たな可能性を感じています。


沓名

これでやっと、「僕がいない状態で会社のPDCAを回すには、どうすればいいか」という課題を解決できる。おかげで、過去につくった評価制度や福利厚生なども、点から線になって稼働し始めています。この先どんな仕組みをつくって拡大していけるか、僕も伴走していきます。


「10社10億で、100億円」への挑戦

『すごい会議』、いつまで続けますか。
沓名

まだまだこれから。今は、少なくともあと3年は続けるつもりです。まずは1年半後、2年後にどうなっているか。


僕が意思決定者だった「シーズン1」以上の成果を出されたとしたら、悔しさはある反面、「俺もやるから見てろよ」と、挑戦心も湧いてくる。海外での大きなプロジェクトも控えているので、ここから先も楽しみです。満足したら終わりなので、僕自身が成長し続けます。


久家

まずは、今シーズンに掲げた「グループで売上45億円」の達成を目指します。目標は高くなる一方だからこそ、大切にしたいのは、自分たちで決めた数字を自分たちの力で達成し、その喜びを全員で分かち合うこと。達成して、お互いを褒め称え合う宴を開く日が、楽しみです。


グループとして、今後どのような課題に取り組んでいきますか。
久家

経営幹部が幹部として機能する状態をつくっていきます。その達成率は、まだ30%。今ようやく、何に取り組み、どう進めていくか、僕も含めたメンバーで決め始めた段階です。仕組みはつくって終わりではなく、動かしてからが本番。「10社10億で、100億円」を実現させる人材を育成していきます。


ありがとうございました。